物欲の塊

炸裂する物欲を書き散らすためのブログ。このブログの内容によって起こったいかなる損害も保障しません。

CPUの殻割り・クマメタル化(実施編)

Core i7-8700Kの殻割り・クマメタル化に成功したので、以下にまとめておきます。

殻割りとクマメタル化の概要

古い記事ですが、説明によい画像があったので引用。

zigsow.jp

http://zigsow.jp/img.php?a=a&filename=mi_19597_1352642838_867290964.png

CPUの外形的構造はこうなっています。今回は殻割りなので、Rockit88を使って、上部のヒートスプレッダとコアが搭載されている基板を分離します。 コアとヒートスプレッダの間にはグリスが塗布されていますが、これを液体金属であるクマメタルに変えて、再度封印します。

必要なもの

何はともあれ、Rockit88が必要です。輸送期間に数日かかるので先に発注しておきました。

rockitcool.thebase.in

Rockit88の発送通知がきたら、以下を購入しました。 今回は、殻割りしてクマメタル化するので、以下が必須です。

親和産業 ドイツ thermal grizzly社製 Conductonaut 液体金属 TG-C-001-R

親和産業 ドイツ thermal grizzly社製 Conductonaut 液体金属 TG-C-001-R

クマメタルは液体金属です。CPUにある金属端子に触れるとショートの原因になるので、マスキングテープで養生しましょう。

殻割りすると、ヒートスプレッダやコア上部の汚れを落とす必要があるので、アルコールクリーナーなどが必要です。あと、割り箸も必要。

コアに近接する端子がクマメタルによってショートしないように、耐熱性の接着剤を利用しました。

コア上部とヒートスプレッダのコア接地面に、クマメタルを塗布したら再度封印するので、ブラックシーラーが必要です。

ホルツ(Holts) ブラックシーラー MH208 STRAIGHT/46-208

ホルツ(Holts) ブラックシーラー MH208 STRAIGHT/46-208

封印後に、ヒートスプレッダ表面にグリスを再度塗る必要がありますが、クマメタルと同じブランドのOC用グリスを塗布しました。

ヒートスプレッダのコア接地面と表面は、接地表面積を確保するために600番のサンドペーパーで磨きました*1

参考にした動画

殻割りする前にとりあえずこれらの動画をひととおりみておけばOKです。

www.youtube.com

www.youtube.com

www.youtube.com

参考にしたブログ

このブログもわかりやすいです。

fukuokanoossann.net

作業

以下メモ。他のブログにもたくさん例があるので、写真は撮っていません。

殻割り作業

動画の手順どおりやれば、ほぼ失敗することはないと思います。

  1. PCの電源をOFF。念のため電源ケーブルも抜いてしばらく冷却する
  2. ケースを開けて、CPUクーラーを取り外して、CPUを取り出す
  3. CPUの表面とCPUクーラーに付着しているグリスをアルコールクリーナーで除去する
  4. (ドライヤーで50度ぐらいまで温める例もありますが、僕は常温のままやりました)
  5. CPUをRockit88にセット*2して、蓋をしてネジ止めする
  6. 六角レンチを使ってゆっくり締めていく。カチッと音がするとトルクが掛からなくなる
  7. Rockit88の蓋を取り外して、ヒートスプレッダが外れていることを確認する(殻割り終了)

CPUの掃除

掃除もそれほど難しくないです。コアを手に持って作業しないようにしてください。落下で端子が傷つく可能性があるからです。 僕は作業する際に、机の上にコピー用紙を何枚か置いて、マスキングテープで固定。さらにその上にCPUの端をマスキングテープで固定して動かないようにしました。あと、コアの基盤裏面の端子も養生した方がいいと思います。

  1. ヒートスプレッダの縁に付着している接着剤(黒いシール材)を割り箸などを使って除去。中心に付着しているグリスも除去。最後にアルコールクリーナーできれいにする
  2. コアを搭載している基板側に付着している接着剤(黒いシール材)も同様にきれいにする
  3. コア上部はグリスが付着しているので、アルコールクリーナーで除去。基盤側も上記と同様に割り箸とアルコールクリーナーできれいにする

クマメタルの塗布

ここからがやばいところです。液体金属(アルミ)は導電性なので、コアの基盤の端子などに触れないようにしないといけません。なので、クマメタルを塗布するコア部分以外の基盤部分はマスキングテープで養生してください。養生するとコアの銀色の部分かし露出しないようになります。

  1. クマメタルをいきなりコアに塗布しようとせずに、CPU以外の別の場所に試し出ししてください。思いのほか大量にでるとリカバリが大変なので
  2. 試し出ししたあとに、コアにクマメタルをほんの少し乗せる。球状になったりしますが、気にせず載せます
  3. クマメタルを付属の綿棒で軽く叩きながら伸ばしていきます。最初は少量でもOK。足りないようなら上記の要領で追加塗布してください
  4. 塗りおえたら、コアの周辺を囲っているマスキングテープを取り外す。
  5. コアの基盤左下にある金属の端子を耐熱性接着剤で保護する。これは直接塗布せず、爪楊枝などで行ってください。そして、接着材が乾くまでしばらく待ちます。
  6. 次にヒートスプレッダのコア接地面にクマメタルを塗布しますが、クマメタルの接地表面積を稼ぐために、600番のサンドペーパーでヒートスプレッダのコア接地面を磨きます。ある程度傷が付く形になりますが、問題ありません。
  7. その後、クマメタルはコア接地面以外は不要なので、コア接地面以外は養生してください。コア接地面の一回り大きいサイズだけを残して、それ以外は養生します。養生後、コアと同じ要領でクマメタルを塗布します。

封印

最後の工程はブラックシーラーを使って封印です。

  1. ヒートスプレッダの縁にブラックシーラーを塗布します。これも直接塗布しないで、別途用意した綿棒を使って少しずつ塗布してください。ただし、全周塗布せず、どこか一箇所塗布しない箇所を作ってください。そこが空気が膨張・縮小した際の通気口の役割を果たします。
  2. ブラックシーラーを塗布したヒートスプレッダをコアの基盤に接着して封印します。ヒートスプレッダの向きを間違えないようにしてください。コアの基盤側の△が左下にして、ヒートスプレッダ上部の文字が読める向きです。まぁ、間違えても実害はないと思いますが、気持ち悪いという人は特に。
  3. Rockit88の台に乗せて、封印用の器具を取り付けて、4時間以上放置です。僕は一晩寝かせました。
  4. 接着できたら、ヒートスプレッダからはみ出ているブラックシーラーを爪楊枝の先端で除去していきます。ヒートスプレッダの縁に沿って、そーっと爪楊枝の先端をなぞる感じで簡単に取れると思います
  5. 最後に養生をすべて取り外して、アルコールクリーナーできれいにしてください。

マザーボードに装着

  1. 装着する前に、ヒートスプレッダのCPU接地面を600番のサンドペーパーで磨きます。ただし、表面の型番などの表記は消えますので注意。いやな人はやらなくていいと思います
  2. CPUクーラーのCPU接地面も同様に磨きます。
  3. 上記で紹介したOC用グリスを塗布します。
  4. あとはいつもどおりマザーボードに組み込んで、CPUクーラーを載せてください。

以上で、終了です。CPUのコアや金属端子などを傷つけないようにすれば、まず失敗しないと思います。ご参考までに。

クマメタル化の効果

さて、OCCTの結果です。

クマメタル化前は、温度上昇の傾きが上昇傾向で安定せず、2分ぐらいで止めましたが最大で79度ぐらいです。別のベンチマークで90度を超える場合もありました。

f:id:nop-me:20180109204219p:plain
クマメタル化前

クマメタル化後は、立ち上がり以外は15分間安定して58から60度ぐらいでしょうか。20度ぐらいは下がっていると思います。

f:id:nop-me:20180113144249p:plain
クマメタル化後

殻割りが昔ほど難しくなくなったので、OCしたい人にはお勧めです。自作10年ぶりの僕にもできたので。次は水冷化を検討したいと思います。

// CPUは保証期間内ですが、保証過ぎてからやった方がよかったかなw まぁいいや。

*1:表面の型番表示が消えるので注意

*2:向きを間違えないようにする